歯科用電子カルテの導入ガイド

必読!歯科用電子カルテの手引き

分野を問わず
電子カルテを導入する医療現場が増えている

電子カルテの導入は大学病院や大型医療機関を中心に進んでおり、その導入率は年々右肩上がりとなっています。

その反面、中小規模医院や歯科医院では、まだまだ普及が行き渡っているとは言えません。しかし、その現状はいま大きく変わりつつあります。歯科医院の新規開業に際しての電子カルテ導入率はいまや30%を超えており、レセプトコンピューターの導入はもはや当たり前。そういった認識は着実に広がってきています。電子カルテを導入する歯科医院が増え続けているのも、医療現場にもたらす導入後のメリットが大きいからに他なりません。

このページでは、歯科用の電子カルテに特化して、誤解されがちな導入メリットの考え方や、選び方の基準、評判の高いベンダなどの情報をまとめています。少しでも参考にしていただければ幸いです。



歯科診療現場にて
こんなことで困っていませんか?

● 人員リソース不足で説明資料をその場で制作する時間が取れず、
 治療中に説明した重要事項を患者さんに詳しく伝えきれない

● スタッフに厚みがなく準備を整えられないため、急な代診への応対が難しい

● 患者さんの症状をヒアリングする際、担当者による差異、ばらつきが生じてしまう


歯科ドクター

これらは多くの歯科医療現場に共通する悩みであり、現場スタッフへの教育体制不備に帰結しがちな課題です。しかし、人的成長を促すだけでは本質的な解決になかなかたどりつけないのが実情です。これら属人的な課題を解消するには、電子カルテの導入が有効な手段となるでしょう。歯科医院向けの電子カルテには、現場をサポートし業務効率を向上させる多くの機能が備わっているからです。

 

歯科医院向け
電子カルテ導入にあたり求められる機能

各ベンダよりリリースされている電子カルテには、多種多様な機能が搭載されています。歯科医院が電子カルテを導入する際は、実際の現場に求められる機能を数ある中から精査・選択しなければなりません。ここでは、上記のような課題の解消に役立つ代表的な機能をピックアップして紹介します。

POSシステムに基づくPOMR式カルテ生成

POSシステムを採用したカルテ生成機能の特徴は、一般のレセコンと比較してその対応領域が大幅に拡大されていることです。保険点数計算を主とする従来のレセプト発行機能にとどまらず、診療の時系列とエビデンスに基づいたカルテを記録できる、論理的・科学的に優れた記載フォーマットが導入されています。

症状の訴えや受診歴など基礎データの収集に始まり、問題の抽出、初期治療方針の策定、必要な検査や処置療法の段階別計画設計、患者さんへの治療方針説明、日々の診療行程の経過記録。それら一連の診療ステップを一括管理し、明確なカルテ記載を可能にしています。

正確でわかりやすいカルテの記載・共有は、患者さんへの説明力強化、信頼獲得にとどまらず、チーム医療のレベルアップやPDCAサイクルの高品質化、歯科領域以外の疾患を持つ治療における歯科医科連携体制の強化など、診療現場にさまざまなメリットをもたらします。

自動化されたSOAP式記述

SOAP式カルテとは、【S:主観的情報】【O:客観的情報】【A:分析・感想】【P:計画】の入力行程に基づいた、的確な業務記録ツールです。

「歯の揺れが生じている」などの主観情報。「歯周ポケットの深さ」など客観情報。「プラークコントロールに関連する歯周病リスク」など分析感想。「歯ブラシ指導などセルフケア以外の外科処置が必要」などの診療計画。それらあらゆる実施内容をリストメニューより選択する形式を採ることで、自動化された文章作成が可能となります。それにより、記録衛生士ごとの記述差異が生じなくなります

導入後の運用を踏まえると、操作性も重要となります。治療する歯の部位をカルテに挿入する際は歯列弓上を直接クリック。そういった直感的なインターフェイスを採用し、業務の効率化と整合性が担保されるオールインシステムを選ぶのが望ましいでしょう。

インフォームドコンセントツール

歯科現場では、診療方針を患者さんにしっかりと説明し、不安を解消してあげてからの治療アプローチが求められます。それは特に、インプラントなど保険外の高額治療において顕著です。患者さんの正しい納得を得るには、カルテ図面やレントゲン写真、動画を見せながら説明をサポートする「インフォームドコンテントツール」が有効な手段となります。

それらのデータを活用し、症状に合わせた管理計画書、診断説明書、薬品説明書、関連情報文書など、患者さんに提供すべきドキュメントを自動生成する機能も重宝されています。

 

 

誤解されがちな
歯科用電子カルテの導入メリット

地域の中核となる総合病院では、以前の紙カルテの場合、膨大な量の紙カルテを印刷し、大きな自動ファイリングシステムに格納し、カルテ搬送システムが必要になるなど、管理するのに手間や人件費などが掛かります。そのため、電子カルテのメリットとして、ペーパーレス化という言葉で、紙のようにコストが掛からない部分が強調されます。

一方、一般的な歯科医院の場合は、総合病院ほど来院者数は多くなく、管理コストの削減だけを目的にすると、導入コストとの帳尻が合わないというケースが珍しくありません。

img

電子カルテを使って診察している画像そもそも電子カルテの目的は、患者さんに関わるできるだけ多くの情報を電子的に保存することで、スタッフ間の情報共有が可能になり、より質の高い医療サービスを実現することが大きな要素の一つにあります。コストの削減は、情報共有によって作業が合理化された結果に過ぎません。
電子カルテの導入には様々なメリットがありますが、それらはすべて、雑多な医療情報の整理・共有化によってもたらされるものなのです。

img

医療器具の画像歯科システムベンダの中には、「電子カルテ」という冠でカルテ機能を持ったレセプトコンピュータを販売しているところもあります。こういったシステムも、広義では電子カルテの範疇に含まれますが、たんに紙カルテを電子化しただけのものも少なくなく、情報共有という目的を達成できているかどうかには疑問が残ります。歯科用電子カルテの導入目的は、コスト削減ではなく情報共有による医療サービスの質の向上であり、この目的に沿って自院に合った電子カルテを選ぶことが大前提なのです。

 

カルテ作成スピード
導入前 ・手書き作成のため、場合によっては時間がかかる
・記述ミスを起こさないよう、綿密な校正が必須となる
・記述ミスの修正が手作業となる
・レントゲン写真などを挿入する際、印刷や貼り付けの手間が生じる
導入後 ・事前に登録された文章や定型文を採用することで、ワンタッチで素早く記述できる
・作成時のミスを防ぐ自動チェック機能が備わっている
・記述した後の修正が容易となる
・画像をデータのままカルテ内に挿入できる
カルテの保存
導入前 ・原則5年のカルテ保存期間に準じ、保管スペースが必須となる
導入後 ・カルテ保管スペースが不要となる
カルテの検索
導入前 ・カルテ保管スペースから該当ドキュメントを探さなければならない
・カルテ内の該当ページ、記述項目欄を探す手間がかかる
導入後 ・電子カルテを利用できるパソコンから、ドキュメントまで簡単にたどりつける
・キーワードで検索し、過去の記録から即座に絞り込める
カルテの可読性
導入前 ・医師による書き方の方式、筆跡の癖に左右され、解読・可読に時間がかかる
・血液検査など定期的な検査結果表示が断続的となり、都度閲覧しなければならない
・紙ページをめくりながらの閲覧となる
・修正、赤字が生じると可読性が低下する
導入後 ・記述方式がフォーマット化され、内容把握が容易になる。筆跡の癖がなくなり、可読性も高まる
・定期検査の結果を時系列順に閲覧できる
・一覧表示でカルテを閲覧できる
・赤字を入れず容易にデータを修正できる
患者さんやご家族への説明力
導入前 ・口頭での説明が主となる
・保険外の高額治療の際など、患者さんの納得を得られにくいケースがある
導入後 ・レントゲン写真や動画などを使いながら説明できる
・症状や治療方針説明がビジュアル化され、患者さんの正しい理解を得られやすくなる
介護報酬の請求漏れ
導入前 ・手続き方法を理解していないと介護報酬を請求できない
・手書きにて介護報酬レセプトを記述する手間が生じる
・医療報酬と介護報酬のレセプトを同時作成できない
・介護請求が可能な歯科診療のうち、およそ75%が未請求ともいわれている
・毎月5人の介護保険対象の患者さんがいた場合、その請求漏れの総額は年間100万円以上となる
導入後 ・電子カルテに入力するだけで、医療報酬と介護報酬のレセプトが同時生成される
・手書きでのレセプト作成の必要がなくなる
・介護保険算定可能な加算点数の取り漏れがなくなる
・介護保険の月締め請求書の発行や、入金管理を自動化できる
・介護保険の請求漏れが著しく減少する

 

歯科用電子カルテ選びの7つのポイント

歯科用電子カルテを選ぶ上で、ぜひ押さえておきたいポイントは以下の通りです。

point1

患者さんに寄り添った診療をサポートできるシステムか

電子カルテ導入の目的は、情報をわかりやすく管理し、共有して、質の高い医療を提供することです。

そのためには、まず「患者さんの病状・病歴を把握」→「必要な検査の実施」→「問題のリスト化」→「治療・衛生指導の組み立て」→「患者さんに共有」、というように、診療の流れをステップ毎に整理しながら進めていくのが理想です。情報がしっかり整理され、各診療データがわかりやすく参照できれば、医療スタッフだけでなく患者さんに対してもわかりやすい情報共有が叶うはずです。

診療の流れに沿って、順を追って必要事項を参照・入力できるか、という点は、電子カルテを選ぶ上でも特に注目したいポイントの1つです。

point2

法令・記載要項を遵守したカルテが入力できるようになっているか

電子カルテと一口にいっても、じっさいはレセコンにカルテ入力機能が付いたものが少なくありません。カルテは、診療経過の記録であると同時に、診療報酬請求の根拠であり、必要な記載を十分に行うことが必要です。そのような法令や記載要項に則った入力ができるシステムになっているかどうかも、確認したい項目の1つです。

また、こういった診療報酬請求のほかに、患者さんにわかりやすく情報を提供できるかといった点も、しばしば厚生労働省による指導の追及対象となります。管理している情報を、必要に応じて自動的に書面化できるかということも、電子カルテを選ぶ上で重要な基準と言えるでしょう。

point3

厚労省が求める3つの条件を満たしているか

広い意味では、カルテ機能のあるレセコンも電子カルテに含まれます。しかし厳密に電子カルテと呼べるのは、厚生労働省が定める以下の3つの条件をクリアしたものに限られます。

電子カルテに求められる3つの条件

  • 正性
    操作ミスや故意による誤入力・書き換え・データ消去などを防止できるか。また、責任の所在(作成者)を明確にできるか。
  • 読性
    システム内で管理されているデータをすぐに閲覧することができるか。また、必要に応じて書面化できるか。
  • 存性
    法が定める期間(診療カルテは5年間)、復元できる形でデータを保存することが可能か。

検討している電子カルテがこれらの条件をクリアしているかどうか、今一度確認してみるとよいでしょう。

point4

セキュリティ面に配慮されているか

電子カルテシステムには、患者さんのプライバシーにかかわる重要な情報が保存されています。コンピュータ自体を狙った盗難に対する施策や、不正アクセス防止のためのファイアウォール、スパイウェア対策など、セキュリティ面に配慮されているかどうかも、電子カルテ選びの重要なポイントです。

また、最近ではメンテナンス会社から情報漏えいするケースも散見されています。パートナーとなる会社が、ISMSなどのセキュリティ資格を持っているかどうかも、確認しておくのがベターです。

point5

運用規定の作成支援はあるか

電子媒体による保存システムの運用を適正に行うため、またその姿勢を外部に説明するために、医療機関毎に運用管理規定を策定する必要があります。

この運用規定は、メーカー側ではなく、じっさいに医療情報を扱うクリニック側の責任のあり方を明確にするためのものです。

とはいえ、いきなり運用規定を作れと言われても、簡単にできるものではありません。導入されるシステムに合致した運用規定の作成をサポートしてくれるかどうかも、メーカー選びの際に注目しておきたいポイントです。

point6

運用マニュアルの作成・添付はあるか

どういった運用マニュアルを作成・添付してくれるかという点は、導入後のスムーズな運用に深く関わっています。

電子カルテは、クリニックごとの運用方針を考慮し、最適化される必要があります。そのため、運用マニュアルに加えて、メーカー側が導入時に講習会を行い、スタッフに操作技術を伝えるのが主流となっています。

電子カルテの導入は、システム単体の取引ではなく、「ソフトウェア」「ハードウェア」「各種書類」「スタッフ講習会」までをセットで捉える必要があります。単純にいいものを導入すればいい、というわけではなく、利用する側がきちんと使いこなせるか配慮されている点も、要注目というわけです。

point7

災害時のバックアップや運用サポートはあるか

電子カルテの運用にあたって、安定性・堅牢性は絶対条件です。万が一の時に電源を確保するための無停電装置はもちろん、パソコンが急に動かなくなってしまうなどの身近なトラブルに対しても、万全の備えをしておかなければなりません。

メーカー側もこうした事態を見越して、遠隔操作によるリモートメンテナンスなどを用意していることがほとんどです。トラブル時に何をどうするべきかといった点や、バックアップデータを残すタイミング・方法などについて、事前にしっかりと確認することが大切です。

トラブルサポートにかんして、どういったものが含まれているかも、押さえておきたいポイントの1つと言えます。

評判の高い電子カルテメーカー一覧(順不同)

株式会社オプテック

株式会社オプテック
メーカー概要

●東海大学発の、歯科用電子カルテに特化したベンチャー企業。

●拡張や連携を前提に、柔軟性の高い電子カルテ・電子レセプトを開発している。

●歯科用初のSOAP方式電子カルテをはじめ、リアルタイムのオンラインサポート、独自の低価格月額プラン(リース期間満了等条件あり)など、顧客第一の革新的なサービスに定評がある。

公式サイトで詳しく見る

株式会社ノーザ

株式会社ノーザ
メーカー概要

●歯科医療情報システムのトップメーカーとも呼べるソフトウェア開発会社。

●大型歯科診療施設や新規開業など状況に応じて最適な運用シミュレーションを提案。

●電子カルテの研究開発から販売、コンサルティング、メンテナンスまで一貫体制で対応している。

公式サイトで詳しく見る

株式会社ヨシダ

株式会社ヨシダ
メーカー概要

●昭和36年から経営を続ける歯科治療機器の総合商社。

●『ときめき』や『気づき』を大切にし、切磋琢磨する社風に定評がある。

●歯科治療に関わるハードウェアの輸入・販売・開発を手掛けるほか、歯科医療情報誌の出版や歯科クリニックの開業コンサルティングなどもトータルで請け負っている。

公式サイトで詳しく見る

メディア株式会社

メディア株式会社
メーカー概要

●歯科医療に注力してソフトウェアの企画・開発を行っている企業。

●コンピュータ関連の周辺機器のほか、歯科用機械や器具、材料の製造販売などにも対応。

●全国の歯科医院や歯科大学、歯科材料店との豊富な取引実績がある。

公式サイトで詳しく見る

コラム知っておきたい
SS-MIX/SS-MIX2のこと

電子カルテの導入を検討するときに知っておきたい単語の1つとして、SS-MIX(Standardized Structured Medical Information eXchange)というものがあります。

直訳では、厚生労働省電子的診療情報交換推進事業といい、地域医療連携や病診連携に向けて、各医療機関が持つさまざまなデータの共有・交換を実現するために、以下のような事業を行っています。

  • 「パッケージウェアの開発」
  • 「ドキュメントの整備」
  • 「各ベンダ共通の規格をもった
    システム開発とその普及」
SS-MIX
画像引用元:SS-MIX
http://journal.jp.fujitsu.com/2015/03/31/02/

SS-MIXは、この事業を指す名称であり、またこの事業によって策定された一連の規格のことでもあります。

2016年7月現在では、仕様の見直しが行われ、SS-MIX2として、各ベンダに依存しない、医療情報の標準化が進められています。

SS-MIX2は実装を強制されるものではありませんが、医療機関ごとの医療情報システムの標準化は大きな動きです。電子カルテについて検討するなら、こうした点も選択基準として踏まえておくとよいでしょう。

 
 
ページの先頭へ ▲