歯科用電子カルテの導入ガイド

必読!歯科用電子カルテの手引き

分野を問わず
電子カルテを導入する医療現場が増えている

電子カルテに関する情報をまとめたウェブページは多くありますが、その対象はほとんどが医科用のもので、歯科に特化したものは見当たりません。
電子カルテと一口にいっても、医科用と歯科用では導入メリットが違います。医科と同じ基準で製品を選んでしまうと、期待通りのパフォーマンスを得られないかもしれません。
このページでは、歯科用の電子カルテに特化して、誤解されがちな導入メリットの考え方や、選び方の基準、評判の高いベンダなどの情報をまとめています。少しでも参考にしていただければ幸いです。

誤解されがちな
歯科用電子カルテの導入メリット

地域の中核となる総合病院では、以前の紙カルテの場合、膨大な量の紙カルテを印刷し、大きな自動ファイリングシステムに格納し、カルテ搬送システムが必要になるなど、管理するのに手間や人件費などが掛かります。そのため、電子カルテのメリットとして、ペーパーレス化という言葉で、紙のようにコストが掛からない部分が強調されます。

一方、一般的な歯科医院の場合は、総合病院ほど来院者数は多くなく、管理コストの削減だけを目的にすると、導入コストとの帳尻が合わないというケースが珍しくありません。

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電子カルテを使って診察している画像そもそも電子カルテの目的は、患者さんに関わるできるだけ多くの情報を電子的に保存することで、スタッフ間の情報共有が可能になり、より質の高い医療サービスを実現することが大きな要素の一つにあります。コストの削減は、情報共有によって作業が合理化された結果に過ぎません。
電子カルテの導入には様々なメリットがありますが、それらはすべて、雑多な医療情報の整理・共有化によってもたらされるものなのです。

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医療器具の画像歯科システムベンダの中には、「電子カルテ」という冠でカルテ機能を持ったレセプトコンピュータを販売しているところもあります。こういったシステムも、広義では電子カルテの範疇に含まれますが、たんに紙カルテを電子化しただけのものも少なくなく、情報共有という目的を達成できているかどうかには疑問が残ります。歯科用電子カルテの導入目的は、コスト削減ではなく情報共有による医療サービスの質の向上であり、この目的に沿って自院に合った電子カルテを選ぶことが大前提なのです。

歯科用電子カルテ選びの7つのポイント

歯科用電子カルテを選ぶ上で、ぜひ押さえておきたいポイントは以下の通りです。

point1

患者さんに寄り添った診療をサポートできるシステムか

電子カルテ導入の目的は、情報をわかりやすく管理し、共有して、質の高い医療を提供することです。

そのためには、まず「患者さんの病状・病歴を把握」→「必要な検査の実施」→「問題のリスト化」→「治療・衛生指導の組み立て」→「患者さんに共有」、というように、診療の流れをステップ毎に整理しながら進めていくのが理想です。情報がしっかり整理され、各診療データがわかりやすく参照できれば、医療スタッフだけでなく患者さんに対してもわかりやすい情報共有が叶うはずです。

診療の流れに沿って、順を追って必要事項を参照・入力できるか、という点は、電子カルテを選ぶ上でも特に注目したいポイントの1つです。

point2

法令・記載要項を遵守したカルテが入力できるようになっているか

電子カルテと一口にいっても、じっさいはレセコンにカルテ入力機能が付いたものが少なくありません。カルテは、診療経過の記録であると同時に、診療報酬請求の根拠であり、必要な記載を十分に行うことが必要です。そのような法令や記載要項に則った入力ができるシステムになっているかどうかも、確認したい項目の1つです。

また、こういった診療報酬請求のほかに、患者さんにわかりやすく情報を提供できるかといった点も、しばしば厚生労働省による指導の追及対象となります。管理している情報を、必要に応じて自動的に書面化できるかということも、電子カルテを選ぶ上で重要な基準と言えるでしょう。

point3

厚労省が求める3つの条件を満たしているか

広い意味では、カルテ機能のあるレセコンも電子カルテに含まれます。しかし厳密に電子カルテと呼べるのは、厚生労働省が定める以下の3つの条件をクリアしたものに限られます。

電子カルテに求められる3つの条件

  • 正性
    操作ミスや故意による誤入力・書き換え・データ消去などを防止できるか。また、責任の所在(作成者)を明確にできるか。
  • 読性
    システム内で管理されているデータをすぐに閲覧することができるか。また、必要に応じて書面化できるか。
  • 存性
    法が定める期間(診療カルテは5年間)、復元できる形でデータを保存することが可能か。

検討している電子カルテがこれらの条件をクリアしているかどうか、今一度確認してみるとよいでしょう。

point4

セキュリティ面に配慮されているか

電子カルテシステムには、患者さんのプライバシーにかかわる重要な情報が保存されています。コンピュータ自体を狙った盗難に対する施策や、不正アクセス防止のためのファイアウォール、スパイウェア対策など、セキュリティ面に配慮されているかどうかも、電子カルテ選びの重要なポイントです。

また、最近ではメンテナンス会社から情報漏えいするケースも散見されています。パートナーとなる会社が、ISMSなどのセキュリティ資格を持っているかどうかも、確認しておくのがベターです。

point5

運用規定の作成支援はあるか

電子媒体による保存システムの運用を適正に行うため、またその姿勢を外部に説明するために、医療機関毎に運用管理規定を策定する必要があります。

この運用規定は、メーカー側ではなく、じっさいに医療情報を扱うクリニック側の責任のあり方を明確にするためのものです。

とはいえ、いきなり運用規定を作れと言われても、簡単にできるものではありません。導入されるシステムに合致した運用規定の作成をサポートしてくれるかどうかも、メーカー選びの際に注目しておきたいポイントです。

point6

運用マニュアルの作成・添付はあるか

どういった運用マニュアルを作成・添付してくれるかという点は、導入後のスムーズな運用に深く関わっています。

電子カルテは、クリニックごとの運用方針を考慮し、最適化される必要があります。そのため、運用マニュアルに加えて、メーカー側が導入時に講習会を行い、スタッフに操作技術を伝えるのが主流となっています。

電子カルテの導入は、システム単体の取引ではなく、「ソフトウェア」「ハードウェア」「各種書類」「スタッフ講習会」までをセットで捉える必要があります。単純にいいものを導入すればいい、というわけではなく、利用する側がきちんと使いこなせるか配慮されている点も、要注目というわけです。

point7

災害時のバックアップや運用サポートはあるか

電子カルテの運用にあたって、安定性・堅牢性は絶対条件です。万が一の時に電源を確保するための無停電装置はもちろん、パソコンが急に動かなくなってしまうなどの身近なトラブルに対しても、万全の備えをしておかなければなりません。

メーカー側もこうした事態を見越して、遠隔操作によるリモートメンテナンスなどを用意していることがほとんどです。トラブル時に何をどうするべきかといった点や、バックアップデータを残すタイミング・方法などについて、事前にしっかりと確認することが大切です。

トラブルサポートにかんして、どういったものが含まれているかも、押さえておきたいポイントの1つと言えます。

評判の高い電子カルテメーカー一覧(順不同)

株式会社オプテック

株式会社オプテック
メーカー概要

●東海大学発の、歯科用電子カルテに特化したベンチャー企業。

●拡張や連携を前提に、柔軟性の高い電子カルテ・電子レセプトを開発している。

●歯科用初のSOAP方式電子カルテをはじめ、リアルタイムのオンラインサポート、独自の低価格月額プラン(リース期間満了等条件あり)など、顧客第一の革新的なサービスに定評がある。

公式サイトで詳しく見る

株式会社ノーザ

株式会社ノーザ
メーカー概要

●歯科医療情報システムのトップメーカーとも呼べるソフトウェア開発会社。

●大型歯科診療施設や新規開業など状況に応じて最適な運用シミュレーションを提案。

●電子カルテの研究開発から販売、コンサルティング、メンテナンスまで一貫体制で対応している。

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株式会社ヨシダ

株式会社ヨシダ
メーカー概要

●昭和36年から経営を続ける歯科治療機器の総合商社。

●『ときめき』や『気づき』を大切にし、切磋琢磨する社風に定評がある。

●歯科治療に関わるハードウェアの輸入・販売・開発を手掛けるほか、歯科医療情報誌の出版や歯科クリニックの開業コンサルティングなどもトータルで請け負っている。

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メディア株式会社

メディア株式会社
メーカー概要

●歯科医療に注力してソフトウェアの企画・開発を行っている企業。

●コンピュータ関連の周辺機器のほか、歯科用機械や器具、材料の製造販売などにも対応。

●全国の歯科医院や歯科大学、歯科材料店との豊富な取引実績がある。

公式サイトで詳しく見る

コラム知っておきたい
SS-MIX/SS-MIX2のこと

電子カルテの導入を検討するときに知っておきたい単語の1つとして、SS-MIX(Standardized Structured Medical Information eXchange)というものがあります。

直訳では、厚生労働省電子的診療情報交換推進事業といい、地域医療連携や病診連携に向けて、各医療機関が持つさまざまなデータの共有・交換を実現するために、以下のような事業を行っています。

  • 「パッケージウェアの開発」
  • 「ドキュメントの整備」
  • 「各ベンダ共通の規格をもった
    システム開発とその普及」
SS-MIX
画像引用元:SS-MIX
http://journal.jp.fujitsu.com/2015/03/31/02/

SS-MIXは、この事業を指す名称であり、またこの事業によって策定された一連の規格のことでもあります。

2016年7月現在では、仕様の見直しが行われ、SS-MIX2として、各ベンダに依存しない、医療情報の標準化が進められています。

SS-MIX2は実装を強制されるものではありませんが、医療機関ごとの医療情報システムの標準化は大きな動きです。電子カルテについて検討するなら、こうした点も選択基準として踏まえておくとよいでしょう。

 
 
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